超高齢社会における社会心理学の役割(2)
~高齢者を対象とする調査研究からの貢献~

第1日(9月17日) 14:15~15:45 E号館1F 102

企画者
中原 純(聖学院大学)
水上 喜美子(仁愛大学)
司会者
水上 喜美子(仁愛大学)
話題提供者
菅原 育子(東京大学)
村山 陽(東京都健康長寿医療センター研究所)
中原 純(聖学院大学)
指定討論者
小林 江里香(東京都健康長寿医療センター研究所)
岩淵 千明(川崎医療福祉大学)

概要
2025年には、4人に1人が75歳以上という超高齢社会の到来が予想され、高齢者数の多さ、高齢化率の高さが様々な問題を引き起こすと考えられている。そこで、昨年度の日本社会心理学会第56回大会(東京女子大学)では、「超高齢社会における社会心理学の役割(1)」を企画し、3名の話題提供者による報告(高齢者を対象とする実験法、写真投映法・面接法、調査法といった多様な手法からのアプローチ)を基に、超高齢社会において社会心理学が担うことのできる役割について議論した。今年度のWSにおいても、この目的は踏襲するが、少し焦点を絞ることとする。

昨年度は老年学の紹介という企画者の意図もあり、多様な手法での高齢者へのアプローチを紹介した。しかし、実際には、高齢者を対象とする社会心理学の研究は、調査法によって行われたものがほとんどである。これは、高齢者に対して身体的な負荷を課す長時間の実験協力や複雑な作業を依頼することが難しく、また研究倫理に関する問題も指摘されるため、ある程度やむを得ないことではある。一方で、調査法によってのみ明らかとなった知見が、実際の超高齢社会の中でどのように活かされるのか、社会心理学の知見としてどの程度重要であるのか、といった社会的・学問的貢献が見えにくいものでもある。そこで、今年度のWSでは、高齢者を対象とする調査によって得られた社会心理学の知見の社会的・学問的貢献について議論を行う。

議論に先立ち、社会心理学をバックグラウンドとしながら、高齢者を対象とする調査研究を行ってきた菅原、村山、中原から話題を提供する。まず、菅原は地域住民のランダムサンプルを対象とした社会調査手法によって得られたデータからの知見として、高齢者の主観的well-beingについて報告する。次に、村山はシニアによる絵本の読み聞かせボランティア「りぷりんと」活動におけるデータから、世代間交流研究・実践における知見を報告する。最後に中原が高齢者を対象とする複数の調査から得られた知見として、高齢者の自己概念に関する報告を行い、同じく社会心理学を専門としながら高齢者の研究にも精通される小林氏、岩淵氏にコメントをいただく。その後、フロアとの討論を通して、昨年度の(1)同様、社会心理学における高齢者研究のこれからについて考えていきたいと思う。


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