第四六回日本社会心理学会大会(関西学院大学)への誘い
大会準備委員長
関西学院大学社会学部 藤原武弘
第四六回大会が九月二四日(土)・二五日(日)の二日間関西学院大学西宮上ヶ原キャンパスで開催されます。大会準備委員会では、前半のヤマであるプログラムと論文集の編集作業をほぼ終えたところです。今回の大会では、学会員の発表とその議論にたっぷりと時間とスペースをとり、知的交流の場を提供するという狙いのため、準備委員会が企画するプログラムは最小限にしています。
会場を取り巻く空間は、よく整備されていますので、時間がゆるせば、大学構内の中央芝生や日本庭園でゆったりと寛いでください。散策がお好きな方は、急な坂道を一○分ほど登っていただくと甲山森林公園で自然を満喫できます。神呪寺まで足を伸ばせば、大阪湾の風景が眼前に開けますし、天気がよければ関西国際空港を発着する飛行機を見ることもできます。超時間と剛体力に恵まれている方は六甲山頂上まで登られれば、もっと壮観な風景に出会えます。この阪神間には博物館や美術館がとても多く、文化的資源に興味のある方も退屈することはありません。お好きな美術作品を堪能することもできます。宝塚方面に足を伸ばしていただくと、美しいタカラジェヌやかわいい鉄腕アトムが笑顔で出迎えてくれますし、西宮市、灘区の日本酒醸造資料館では日本酒党、AB西宮工場ではビール党の味覚や知識をきっと満足させることでしょう。温泉愛好家は、宝塚、武田尾、有馬の湯めぐりもできます。もちろん時間が許せば、神戸、奈良、京都といった有名な観光スポットへのアクセスも容易です。また懇親会では100種類のワインを楽しんでいただく予定です。私はいつも遊ぶことばかり考えているので、話が横道にそれてしまいました。本題にもどします。
一般発表は、口頭発表一○四件、ポスター発表が二七五件の申し込みがありました。合計三七九件は、第四三回大会の三九六件に次ぐ発表件数で、準備委員会一同うれしい悲鳴をあげています。準備委員会の企画シンポジウムは「グローバル化社会におけるリスクと安心」です。早稲田大学の竹村和久先生に司会役をお願いし、現代社会の多様なリスクについてシンポを展開していただきます。話題提供者として、国際基督教大学 村上陽一郎先生、東京大学 堀井秀之先生、社会技術研究開発センター 神里達博先生をお迎えして、科学哲学、工学、社会技術といった幅広い観点から、お話を伺う予定です。会員によるワークショップも以下七件の申し込みを頂いています。「適切な変動因は何か―心理学的研究において個人内変動に注目することの意味―」、「ファセット・アナリシスと共分散構造分析、林の数量化との比較」、「人間関係向上のための社会的スキルトレーニングに向けて」、「臨床心理学と社会心理学のインターフェイスを語る」、「現代の若者の問題行動に何ができるか―非行・犯罪・迷惑行為への社会心理学的アプローチ―」、「成人アタッチメント研究の最近の動向―これまで何が分かって、これから何ができるのか?―」、「プリスクリプティブ・アプローチⅡ:処方的研究がもたらす知の総合化」。
第一号通信でも触れましたように、本学では過去四回大会が開催されています。振り返って見ますと、偶然かもしれませんが、非常に大きな社会的出来事と共振しているようです。第一回(一九六○年)は新安保条約批准。この年はわが社会学部が文学部から独立した年でもあります。国民所得倍増計画も決定。第一○回(一九六九年)は全国で大学紛争が起こり大学臨時措置法公布。関学でも全共闘により第5別館封鎖、機動隊導入。翌年は日本万国博覧会開催。第二一回(一九八○年)はとりたてて大事件は起こっていませんが、校内暴力・家庭内暴力が急増した年であります。前年には国公立大学共通一次試験が実施。第三一回(一九九○年)はバブル景気収束期ですが、大学入試センター試験導入、即位の礼。第四六回(二○○五年)はこれから何が起こるか分かりませんが、今までJR宝塚線脱線事故が起こっています。世の中の移り変わりは様々ですが、本学のスクールモットであるマスタリー・フォア・サービスは不変です。自己を鍛錬しつつ他者に仕えるという精神で皆様方をお迎えしたいと思っています。多数の会員の皆様の参加をお待ちしています。