再現可能性問題を端緒として、社会心理学がかつてなくゆらぎ始めている。社会心理学に対する様々な批判がどれだけ的を射ているのか、後世の判断を待つしかない。だが、論文の執筆スタイルから分析手法、研究上の慣習から理論に至るまで、社会心理学がこれまでよりも厳しく外部から評価されるようになったこと、そして他領域と棲み分けるのではなく、競合する時代に入ったことは間違いない。社会心理学の中だけではなく、外の世界で通用し評価されるよう成長していかなければならないという圧力。若い世代ほど、その圧力を強く受けている。だがそのためにはどうすれば良いのか?
本企画では、年齢も若くそして実際に領域を超えて活躍している近接領域の研究者、そして社会心理学を超えて外へ飛び出そうと足掻く中堅の社会心理学者に登壇していただく。そして社会心理学の枠を超えた世界でも通用する研究を行うためにはどうすれば良いのかを、若手に考えてもらうための場を提供する。
2014年度に実施した夏合宿セミナーと同路線の企画であり、若手を中心とした事前予約制とする(人数制限あり;研究歴の若い順)。またノンストップで懇親会(参加費無料)へと流れこむことにより、偉い方々の前では話しにくいテーマにも切り込む大放談会としたい。
日時
2016年9月16日(金)13:00~18:00(終了後、関学内レストランにて懇親会)
場所
関西学院大学西宮上ケ原キャンパス社会学部 社会学部棟202号室
講師
出馬圭世(ヨーク大学心理学部)、高橋英之(大阪大学基礎工学研究科)、石黒格(日本女子大学人間社会学部)
参加資格
日本社会心理学会会員
事前登録制
先着順の中から研究歴の若い順に最大50名程度。申し込みが定員に達しましたので、事前予約を締め切らせていただきました。キャンセル待ち希望等に関しては、メールニュースNo.1548(8/3配信)をご確認下さい。
参加費および懇親会費
無料(ただし参加者数によっては、職についており研究歴が長い方から懇親会費の一部負担をお願いする場合があります)
概要
第1部:「境界を超える人生」—外部講師による講演(13:00~15:00)
本企画のために、出馬圭世(ヨーク大学心理学部講師)と高橋英之(大阪大学基礎工学研究科特任講師)という、複数の領域を超えて活躍する気鋭の若手研究者を外部講師として招待する。出馬氏は社会認知神経科学者であり、内発的動機づけや認知的不協和、社会的報酬など社会心理学のコア概念について神経科学の立場から革新的な研究を進めている。高橋氏は情報科学の出身でありながら、発達心理学から赤ちゃん学、認知科学、神経科学、そして最近は知能ロボット学という広大な領域を渡り歩きながら、心の社会性について野心的に研究を進めている。両氏とも社会心理学と接点を持つ場所で働き、社会心理学者との接点も多い。
両氏には、各々の研究について話していただきながら、どのような生い立ちを経て境界を越えていく研究者となったのか、そして社会心理学を知る外部者の視点から、社会心理学者が外へ出て行くために何が必要だと考えるかを語っていただく。
第2部:ラウンドテーブルディスカッション(15:00~18:00)
第2部では会員4名(石黒格、新規事業委員会より竹澤正哲、清水裕士、石井辰典)が登壇し、いかにして社会心理学という領域から抜けだして外部から認められようと奮闘しているのか、各自の研究を例にしながら具体的に発表する。そして社会心理学の外で境界を超えて活躍している外部講師から、各話者に対して忌憚なく意見をしてもらい、外の世界で通用するために何が必要であるか議論をしていく。
第3部:懇親会(18:30~20:30)
フリーフォーマットの大放談会
本企画に関する問い合わせ
mifune.nobuhiro[at]kochi-tech.ac.jp (三船恒裕)([at]を@に変えてください。)