第13回春の方法論セミナー
生成 AI 時代の教育と研究
― 活用の基本と応用 どう活かす・どう付き合う ―
日時
2026年3月3日(火) 13:30〜17:20 予定 (質疑,休憩含む)
開催方法
Zoom中継(最大500人)
企画
日本社会心理学会学会活動委員会
HP(当日詳細資料、申し込みサイトなど)
準備中
次第
司会:小林知博(神戸女学院大学・日本社会心理学会理事/学会活動委員)
13:30〜13:40
挨拶:西田公昭(立正大学・日本社会心理学会会長)
企画趣旨紹介:宮本聡介(明治学院大学・日本社会心理学会 学会活動担当常任理事)
13:40 〜 14:40(質疑応答10分を含む)
新保 直樹(北陸先端科学技術大学院大学)
研究活動を支援するツールとしての生成 AI 入門
休憩(10分)
14:50 〜 15:20(質疑応答10分を含む)
中分 遥(北陸先端科学技術大学院大学)
生成 AI の教育・研究活動で気をつけていること:暫定的な指針について
休憩(10分)
15:30 〜 16:20(質疑応答10分を含む)
高野 了太(名古屋大学)
生成 AI を用いた心理学研究:生み出す・まとめる・組み込む
休憩(10分)
16:30 〜 17:20(質疑応答10分を含む)
三浦 麻子(大阪大学)
『生成 AI 時代の心理尺度翻訳をめぐるビッグチームプロジェクト』
企画趣旨
生成AIの進歩が止まりません。当初は?マークが浮かぶようなやり取りが多々ありましたが,最近の生成AIは,日常生活だけでなく,研究活動にも明らかにプラスの影響をもたらすようになってきたと感じています。そうなってくると,生成AIが研究にどのように活用できるのか,第一線の研究者は生成AIを使ってどんな研究活動をしているのか,もっと知りたいと感じている方が多数いらっしゃるのではないかと思います。
そこで今回の春の方法論セミナーでは,生成AIを一大テーマに掲げ, 4人の講師にご登壇いただき,生成AIの活用術を基礎から応用までご紹介いただこうと思います。
セミナー概要
新保 直樹(北陸先端科学技術大学院大学)
研究活動を支援するツールとしての生成 AI 入門
生成AIを研究プロセス全体を支える“支援ツール”としてどのように活用できるかを、初心者向けに紹介する。論文検索・要約・内容理解の補助に加え、統計解析コードの生成やデバッグなど、日常的な研究業務を効率化するための基本的な利用法を具体例とともに取り上げる。また、生成AIを用いた刺激画像の作成や簡易的な実験システムの構築といった心理学研究への応用も基礎的な範囲で扱う。本発表では明日から実践できる“使い方の型”を示すとともに、後続の発表で扱われる応用的な内容へつながる導入部として、研究に生成AIを活用する際の基本的な視点を提示する。
中分 遥(北陸先端科学技術大学院大学)
生成 AI の教育・研究活動で気をつけていること:暫定的な指針について
近年、生成AIの発展が目覚ましく、大規模言語モデル(LLM)を用いた学術研究が増えており、AI for Scienceといった概念も生まれている。研究者・学生・教員が、ゼミ活動・研究会・講義において、LLMを使って資料を作成するケースが増えており、社会心理学周辺領域でも論文の校閲も含めた利用が行われている。研究や教育でのLLMの利用されている現状を鑑みれば、たとえ本人が使わなくともある程度の理解・対応が要求される場面が今後増えると予想される。本発表では、LLMを研究で用いることでの研究者が持つ「幻覚(illusion)」を報告する。また、学生を指導する際に教員として注意すること、また学生にAIを用いる際に示している暫定的な指針を共有し、会場での議論を通じて不足している要素などを議論したい。
高野 了太(名古屋大学)
生成 AI を用いた心理学研究:生み出す・まとめる・組み込む
近年、ChatGPTをはじめとするAIチャットサービスの発展により、生成AIを活用した(社会)心理学研究が急速に広がっている。特に、刺激作成、データ処理、研究デザインそのものの構築において、新しい方法論が次々と提案されている。本発表では、その利用方法を大きく三つに整理して紹介する。第一に、研究で用いるデータや刺激を「生み出す」方法である。第二に、自由記述や大量テキストデータを要約・分類し、潜在構造を抽出するなどの「まとめる」方法である。第三に、AIを刺激の一部として用いることで、実験・調査の操作変数として「組み込む」方法である。これらの研究例を踏まえ、生成AIが心理学研究に与えるインパクトと今後の展望について議論したい。
三浦 麻子(大阪大学)
『生成 AI 時代の心理尺度翻訳をめぐるビッグチームプロジェクト』
生成AIの学術利用,とりわけ研究実務への組み込みをテーマとしたプロジェクト「Many Scales」を紹介する。心理学研究では,英語で開発された尺度を各言語に翻訳して用いることが多いが,翻訳プロセスの妥当性や測定不変性への影響は,個々の研究者の暗黙知に委ねられてきた。Many Scales では,従来の順翻訳・逆翻訳・レビューに加え,汎用LLM,翻訳特化ツール,人間訳者とLLMの協働など複数のワークフローを並行して実装し,得られた訳文を専門家評価とデータ収集に基づく統計的検証の両面から比較する。30名超の研究者が参加し,多数の尺度を対象にプロトコル,評価指標,データ共有の枠組みを整備中である。本報告では,プロジェクトの背景,設計,上流の運営体制,および今後想定している成果物(翻訳ガイドラインや公開データセット等)について概説する。
